「インド人彼氏と4年付き合っています。性格も合うし結婚したい。でも文化の壁を越えられるか不安で、踏み出せずにいます」
INDOGOのポッドキャストに届いた相談です。もう少し詳しく聞いてみると、壁の正体は食事でも言語でもありませんでした。
「家族観と、どこに住むか」——これが一番大きいと言っていました。
私(シワニ)はインド出身で日本在住7年。日系ペルー人のジロと結婚しています。この問題、よく理解できます。正直に話します。
インドでは結婚=夫の家族と住む、が基本
まず知っておいてほしいことがあります。インドでは、結婚したら花嫁が夫の家族のもとへ嫁ぐのが伝統的なスタイルです。夫の両親、場合によっては兄弟家族も含めた大家族と同居することが「普通」とされています。
日本でいえば、昔の「嫁に行く」という感覚に近いかもしれません。今の日本ではずいぶん変わりましたが、インドではまだこの形が多くの家庭で続いています。
彼が「家族と離れて核家族になることが心配」と言っているなら、それは本音です。インド人にとって家族との結びつきは、日本人が想像する以上に強いものです。
向こうの家族は、この結婚に賛成しているか
もう一つ、早めに確認しておくべきことがあります。彼の家族は、日本人との結婚を受け入れているかどうか。
正直に言うと、インドの親世代が外国人との結婚を最初から歓迎するケースは多くありません。反対から始まることのほうが多い。「外国人なの?いいね」とはなかなかならないんです。
最近のインドでは、お見合い結婚でも相手本人だけでなく「その親がどんな人か」を見るようになってきています。なぜなら、結婚後に夫が仕事に行っている間、妻は家族と一緒に過ごすことになるからです。義父母がどんな人かは、生活の質に直結します。
言葉の壁は、思ったより高い
もし日本人女性がインドに移住して夫の家族と住む場合、言語の問題は想像以上に大きいです。
都市部の若い世代なら英語が話せる人も多いですが、親世代——特に地方出身の家庭では——英語がほとんど通じないことがあります。地元の言語(ヒンディー語、タミル語、テルグ語など)を話さないと、日常のコミュニケーションが成り立ちません。
住んでいるうちに言語は身につきます。でも「身につくまでの間」をどう乗り越えるかは、事前に考えておく必要があります。
「インドに住む」と「家族と住む」は、別の問題
ここは分けて考えることをおすすめします。
インドという国に住むこと自体と、夫の家族と同居することは、別の話です。インドに移住しても、近くに別で住む選択肢はあります。ただ、それが家族から「息子を奪った」と見られることもある。家族との距離感は、事前に彼とよく話し合っておく必要があります。
また、インドのどの地域に住むかによっても、生活のしやすさは大きく変わります。デリーやムンバイのような大都市と、地方の小さな町では、外国人女性の暮らしやすさがまったく違います。
絶対に、金銭的に誰にも依存しないこと
これが私から一番伝えたいことです。
どの国に住むにしても、どんな家族関係になるにしても——自分で稼げる状態を保ってください。
インドに行っても仕事を持つこと。もし現地での仕事がすぐに見つからないなら、リモートワークでも、フリーランスでも、何か自分の収入源を確保しておくこと。
なぜかというと、もしその状況が合わなくなったとき、自分の足で動ける必要があるからです。経済的に夫や夫の家族に依存していると、「日本に帰りたい」と思ったときに帰れない状況が生まれることがある。インド人同士の夫婦でも、そういうケースを見てきました。
これはネガティブな前提で言っているのではありません。自立していることで、「ここにいるのは自分が選んでいるから」という自信を持てる。それがむしろ、関係を健全に保ちます。
結婚前に「試しに住む」ことを勧める理由
もし少しでも「インドで暮らしてもいい」という気持ちがあるなら、結婚を決める前に一度実際に住んでみることをおすすめします。
インドという国は「合う人には合う、合わない人にはまったく合わない」という場所です。水、気候、生活インフラ、人との距離感——実際に暮らしてみないとわからないことがたくさんあります。観光で来るのとは全然違います。
向こうの家族と完全に同居するのが難しくても、近くに部屋を借りて頻繁に行き来する形でもいい。「どんな家族か」「自分がその環境に慣れられるか」を、結婚という決断の前に体で確かめてほしいのです。
日本とインド、どちらにも失うものと得るものがある
私自身の話をすると、東京に来てから孤独を感じるようになりました。最初の1年は学校に通っていて、外国人の友人もたくさんいた。でも東京で働き始めてからは、インドにいたときとは全然違う。インドでは常に家族や友人に囲まれていて、一人になることがなかった。日本は自由だけれど、そのぶん孤独を感じやすい。
一方で、日本に来て得たものもあります。女性としてのキャリアの自由、自分のペースで生きられる環境。インドではそれが難しかった部分もありました。
インドに移住する場合、逆のことが起きます。家族やコミュニティの温かさを得る代わりに、今の自分の生活や自由を手放す部分が出てくる。
どちらが正解かは、人によって違います。大切なのは、その選択を「彼のために」ではなく「自分が納得して」できるかどうかです。
よくある質問(FAQ)
Q. インド人と結婚した場合、必ず夫の家族と同居しないといけませんか?
A. 必ずではありませんが、同居が「当たり前」という前提の家庭が多いです。都市部の若い世代では別居するカップルも増えていますが、家族からの期待や圧力がかかることはあります。事前に彼と、そして可能であれば家族とも話し合っておくことが重要です。
Q. インドに移住した場合、仕事はどうすればいいですか?
A. リモートワークができる職種であれば、日本のまま働き続けることが最もリスクが低いです。現地での就職は言語・ビザ・業界によって難易度が変わります。いずれにしても、経済的な自立を保てる手段を確保してから移住することを強くおすすめします。
Q. 彼の家族が国際結婚に反対している場合、どうすればいいですか?
A. 時間をかけることが多いです。最初は反対でも、実際に会って関係を築いていくうちに変わるケースもあります。ただし、家族の反対が続く場合、それが結婚後も二人の関係に影響し続けることを念頭に置いておく必要があります。
この記事のもとになったポッドキャストを聴く
シワニとジロが毎週、視聴者の質問や悩み相談などさまざまなテーマについて、ゆるく時には辛口でお届けするポッドキャストです。
🎧 Spotifyで聴く
インドのゆるから辛 — Spotify
▶️ YouTubeで観る(第2回)
インドのゆるから辛 #2 — YouTube
もっと深く知りたい方へ:著書のご紹介
インドの結婚事情・家族観・持参金問題から、インド人のメンタルや食文化まで、日本在住7年のシワニが書き下ろした初の著書です。

📚 ぶっとび!人生が踊るインド・メンタル あらゆる悩みを3秒で吹き飛ばす最強哲学
この記事はポッドキャスト「インドのゆるから辛」第2回の内容をもとに、シワニが加筆・再構成しました。
シリーズ「インドの結婚と家族」
持参金、離婚、日印カップルの暮らし。インドの結婚と家族の、表からは見えにくい話です。