インドの離婚率は、約1%です。
100組が結婚して、離婚するのはたった1組。
日本では毎年、離婚件数が婚姻件数の約38%に達します(厚生労働省、2024年)。おおよそ3組に1組のペースで離婚が起きている計算です。この差、どうしてこんなにも開いているのか。「インド人は仲良しなの?」「愛情が深いの?」——そう思いたいところですが、実態はもう少し複雑です。
日本に来て7年、インド出身の私(シワニ)がリアルな視点でお話しします。
インドでは、結婚は「ふたりの約束」じゃない
日本では、結婚はあくまで本人同士が主役ですよね。でもインドでは、結婚は「両方の家族全体が結ぶ一生の約束」という感覚が根強くあります。
結婚したら、夫の両親と同居するのが一般的な地域が多いです。日常的に喧嘩をしていても、嫁と義理の両親が一つ屋根の下で暮らす。それがインドではごく普通の家族のかたちです。
だから、夫婦の間に問題が起きても、当事者だけで解決しようとはしません。両家の親が相談に乗り、仲裁に入り、「もう少し頑張ってみなさい」と促す。夫婦の問題が、自動的に家族全体の問題になるんです。
「離婚したい」と言い出せない構造
もし妻が「離婚したい」と思っても、そう簡単にはいきません。
まず妻の親が「もう少し我慢しなさい」「まだやり直せる」と説得にかかります。妻が自分の実家に帰ろうとしても、「どうして帰ってきてるの?」と言われてしまうことも多い。
インドでは、「嫁いだら夫の家の人間になる」という感覚が今も根強く残っています。妻が実家に帰ることを「娘が戻ってきた恥」と捉える家庭さえあります。
社会的・宗教的に、離婚はいまだにタブー視されている地域が多いです。
離婚できない影の部分
正直に言うと、1%という数字には、「幸せな結婚が多いから」だけでは説明できない部分もあります。
たとえば、持参金(ダウリー)の問題。インドでは、女性が嫁ぐときに実家から持参金を持っていく慣習が残っている地域が少なくありません。離婚しようとしても、「実家がお金を出してくれたんだから」という自覚が女性自身にあり、踏み切れないケースもある。
また、離婚した女性への社会的な目線はまだ厳しく、「出戻り」というレッテルが人生に影を落とすこともあります。
「離婚しない」のではなく、「離婚できない」人たちも、1%の数字の裏には存在しているのです。
それでも、インドの結婚には「強さ」がある
暗い話ばかりになってしまいましたが、インドの結婚に根づいている「家族で支える」という発想は、本質的にはとても強いものだと私は思っています。
夫婦ふたりだけで問題を抱え込まずに、家族全体でサポートし合う。親が仲裁に入ることで、冷静になれるタイミングが生まれることもある。
日本では「夫婦のことは夫婦で解決すべき」という空気が強い。それが孤独な離婚危機につながることも、あるかもしれません。インドとはまた違うかたちで、誰かに頼ることが難しい社会なのかも、と感じます。
若い世代は変わり始めている
ただ、インドの若い世代はここ数年で少しずつ変わってきています。
都市部を中心に「親だって間違えることがある」「自分たちの結婚のことは自分たちで決める」という感覚が育ってきている。親の言いなりにならず、合わない相手とは離れる選択をする人も、少しずつ増えてきています。
それでも社会全体の変化はゆっくりで、「1%」という数字はまだしばらく動かないでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. インドに離婚の制度はあるのですか?
A. あります。法律上は離婚は可能です。ただ、社会的・宗教的なプレッシャーが強く、実際に離婚に至るケースが非常に少ないのが現状です。
Q. インドはお見合い結婚が多いのですか?
A. 都市部では恋愛結婚も増えていますが、まだ親が相手を探す「アレンジドマリッジ(お見合い)」が主流です。ただ、最近は「お互いが会って気に入ったら進める」という形が増え、昔ながらの強制的なお見合いとは変わってきています。
Q. 日印カップルの場合、どちらの文化に合わせるのですか?
A. これが日印カップルの永遠の課題です(笑)。私たち(シワニとジロ)もいつも話し合いながらやっています。「どちらかが合わせる」ではなく「ふたりで新しいルールをつくる」感覚が大事かなと思っています。
この記事のもとになった本を読む
インド人の結婚観・お金観・仕事観・食文化・日常の習慣まで、日本在住7年のシワニが書き下ろした初の著書です。

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この記事はシワニの著書『ぶっとび!人生が踊るインド・メンタル あらゆる悩みを3秒で吹き飛ばす最強哲学』(KADOKAWA)の内容をもとに、シワニが再構成しました。
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持参金、離婚、日印カップルの暮らし。インドの結婚と家族の、表からは見えにくい話です。