夜10時、お姉ちゃんがパクチーを買い忘れたことに気づく。

スマホを取り出してアプリを開いて、パクチーとコンセントのアダプター(私の分の買い物まで)をカートに入れた。注文してから15分後、玄関に届いた。

「インドって不便なんじゃないの?」——帰国するたびに、そのイメージが少しずつ崩れていきます。

日本に来て8年、インド出身の私(シワニ)が、知らないと損するインドの便利すぎるアプリを全部話します。

この記事のもととなった動画

①Blinkit:注文から10分で届く、”ほぼ何でも”届く

Blinkit

冒頭のエピソードで紹介したアプリが「Blinkit(ブリンキット)」です。食品・野菜・日用品・家電まで、何でも注文できるクイックコマースアプリで、10〜15分以内の配達を売りにしています。

2025年時点でインド153都市をカバー。クイックコマース市場のシェアは46%——業界トップです。

競合にInstamartやZeptoもあり、「誰が一番早く届けるか」「誰が一番安いか」でしのぎを削っています。この競争がサービスをさらに磨き続けています。

ちなみにBlinkitはUber Eatsと同じ仕組みで、配達員がダークストア(小型倉庫)から商品をピックアップして届けてくれます。「夜中にアダプターが届く国」——それが今のインドです。

②Practo・PharmEasy:オンラインで診察して、薬が家に届く

Practo

医療系でびっくりしたのが「Practo(プラクト)」です。アプリを開いて医師を選び、時間を予約するだけ。ビデオ通話で診察を受けて、処方箋をもらって、薬まで家に届きます。

Practoは幅広い医師・医療従事者ネットワークを持ちます。さらに、医師のレビュー・評価も確認できるので、「評価の低い医師には予約が入らない」という自然な競争が生まれています。

さらに上があります。医師が自宅に来てくれます。移動が難しい人のために、自宅訪問診察も予約可能。私の父が病院に行くのが大変なとき、実際に使いました。

もう一つ、「自宅採血サービス」も広まっています。採血スタッフが自宅に来て採血し、検査結果はメールやアプリで届きます。病院に行って、また結果を取りに行って——そのふたつの往復がゼロになりました。

「地方に住んでいる人、移動が難しい人にこそ届くサービス」——ジロがそう言っていましたが、まさにそのとおりだと思います。

③UPI:1つのQRコードで、どのアプリでも払える

UPI

日本にもPayPayやd払いなど、QRコード決済はいくつもありますよね。でも店によって「このバーコードはPayPayだけ」「こっちはd払いだけ」と別々になっている。間違えて読み取ってしまう経験、ありませんか?

インドの「UPI(ユーピーアイ)」は違います。1つのQRコードを、どのアプリで読み取っても支払いができます。手数料は無料。銀行口座と連携しているので、アプリ内でどの銀行からでも即送金も可能です。

2025年12月のUPIの月間取引件数は216億件。年間では2,283億件に達しました。日本最大のQR決済PayPayの年間取引件数は88億件——UPIはその約26倍の規模です。

道端の小さな屋台から高級レストランまで、全部UPI。逆に現金を出すと「どの時代から来たんだよ」という顔をされます。田舎の村の小さなお店にもQRコードが貼ってありました。これには本当に驚きました。

④Urban Company:マッサージも、シェフも、修理も、プロを呼べる

Urban Company

「Urban Company(アーバンカンパニー)」は、家周りのあらゆるプロを呼べるアプリです。エアコン修理、配管工事、大掃除……だけじゃありません。肩がこったらマッサージ師、大事なイベント前にはヘアカット、パーティーにはシェフも呼べます。

インド国内59都市(UAE・シンガポールなど含む)に展開。2025年9月にはIPO上場も果たしました。

友人がパーティーでシェフを呼んだところ、清潔な服装で来て、すごく豪華な料理を作ってくれたと言っていました。「ちゃんと機能してる」——これを聞いて私も使ってみたくなりました。

都市部限定のサービスですが、「手軽にプロに頼める」という選択肢が当たり前になりつつある社会は、生活のクオリティをかなり変えると思います。

⑤配車アプリ(OLA・Uber):バイクで迎えに来てくれて、SOS機能付き

OLA
Uber

インドでは配車アプリが日常です。タクシーだけでなく、バイクの配車アプリもあります。都市部の渋滞はひどいので、バイクで迎えに来てもらって、すり抜けて目的地に着く——これが早くて便利です。

「知らない人の車やバイクに乗るのは怖くない?」という声はよく聞きます。インドのアプリにはちゃんと安全機能があります。

  • 乗車中のライブ位置情報を家族や友人にシェアできる
  • 車内の会話を録音できるボタンがある
  • SOSボタンを押すと位置情報が警察に共有され、すぐに電話が来る

実際にお姉ちゃんが誤ってSOSを押してしまったとき、10件以上警察から電話がかかってきたそうです。「パトカーで向かいます、大丈夫ですか」と。散々だったけど、ちゃんと機能していることはわかりました(笑)。

⑥DigiLocker:スマホ1台に、すべての公的書類が入る

DigiLocker

インド政府が運営する「DigiLocker(デジロッカー)」は、運転免許証・卒業証明書・Aadhaarカード(インドのマイナンバー)など、あらゆる公的書類をデジタルで保管できる政府公認アプリです。

提示を求められたら携帯で見せるだけ。物理的に書類を持ち歩く必要がありません。

登録ユーザー数はインド人口のかなりの割合に達しており、発行済み書類数も膨大な数にのぼります。もはや政府のインフラとして完全に定着しています。

日本でもマイナンバーカードのデジタル化が進んでいますが、インドはすでに数億人規模で運用されている。この差は正直、驚きました。

⑦NoBroker:仲介手数料ゼロで、家を借りられる

NoBroker

「仲介業者なしで家を借りたり買ったりできる」——これが「NoBroker(ノーブローカー)」です。

インドでも仲介手数料は高い。NoBrokerはその仲介をなくすことで、大家と借主を直接つなぎます。多くのユーザーが仲介手数料の節約を実感しており、その総額は大きな金額に達しています。

主要都市中心のサービスですが、「払わなくていいお金を払わなくて済む」という選択肢が広がることは、特に若い世代・スタートアップを立ち上げる人たちにとって大きな意味を持ちます。

よくある質問(FAQ)

Q. これらのアプリは日本でも使えますか?

A. ほとんどはインド国内向けのサービスです。ただ、Urban CompanyはUAEやシンガポールにも展開中です。「日本でも使えたら」と思うものが多いのも事実で、実際にジロともよく話します。

Q. 地方や農村でも使えますか?

A. UPI決済は農村の小さなお店にも普及しています。Blinkitや配車アプリは都市部が中心ですが、少しずつ広がっています。インドはスマートフォンユーザーが8億人を超えており、インフラの広がりは非常に速いです。

Q. インドのアプリってセキュリティは大丈夫?

A. 大手アプリはセキュリティ基準も厳しくなっています。UPIはインド政府主導の規格で、詐欺対策も継続的に強化されています。ただ、フィッシング詐欺などは日本同様に存在するので、公式アプリを使うことが大切です。


シワニの著書もあわせてどうぞ

インド人の結婚観・お金観・仕事観・食文化・日常の習慣まで、日本在住8年のシワニが書き下ろした初の著書です。

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この記事は上記のYouTube動画をもとに、シワニが再構成しました。

シリーズ「インドのよくある誤解」

「インドって、こうでしょ?」を、インド人のシワニがひとつずつほどいています。続けてどうぞ。

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