インドに来た外国人がよく驚くのが、女性のゴールドの量です。日常的に、首・手首・耳に金の装飾品をつけている女性の姿を見て、「インドの人ってそんなにおしゃれが好きなの?」と思うかもしれません。

でも、違うんです。

私(シワニ)の家族も、母も祖母も、いつも金のアクセサリーをつけていました。子どもの頃は当たり前すぎて気にしていなかったのですが、日本に来てから「あれはただのアクセサリーじゃなかった」と気づきました。

インド人女性は、世界の金の11%を持っている

少し驚く数字をお伝えします。

インドの家庭における金の保有量は世界的にもずば抜けていて、なんと世界の約11%の金を、インド人女性たちが持っているというデータがあります。

その量は、アメリカ・スイス・ドイツといった国々の公的な金保有量をすべて合計したよりも多いのです。

インドは中国に次いで世界第2位の金消費国。ちなみにインドはかつて「黄金の鳥(ソーネー・キ・チディヤ)」と呼ばれるほど、古くから世界の金流通の中心にあった国です。

でも、なぜそれほど金を持つのか。答えは「きれいだから」ではありません。

金は「資産」であり「魔除け」であり「担保」になる

インドで金が愛される理由は、一つではありません。

まず、金は換金できる資産です。不動産や株と違って持ち運びができて、いざというときにすぐ現金化できる。銀行が信頼できない地域もあるインドでは、手元に持てる資産としての金が、長年にわたって家族を守ってきました。

次に、金には「魔除け」「厄除け」の意味があります。ヒンドゥー教の文化において、金は「繁栄」「幸運」の象徴。幼い頃にピアスを開けるのも、子どもを守るためという意味が込められています。

そして近年注目されているのが、ゴールドローンです。銀行や金融機関に金の装飾品を預けると、その評価額に応じてローンを組むことができる仕組みで、教育費・医療費・結婚式費用など急な出費が必要なときに広く使われています。数グラムから対応している金融機関もあり、農村部の人々にとっては重要なセーフティネットになっています。

金を持っていれば、なにかあっても大丈夫——そういう安心感が、インドの文化に深く根付いているんです。

父から教わった「本物の金の見分け方」

私の父は金に関わる仕事をしていたことがあって、子どもの頃にこう教えてくれました。

「本物の金はちょっと噛んでみるとわかる。偽物より軟らかいから、歯型がつくんだ」

24カラットの純金は特に軟らかく、噛むだけで傷がつくそうです(さすがにお店では試せませんが)。

インドで金を買うときには「BISホールマーク」という政府機関の品質保証マークが刻印されているか確認するのが基本です。「22K916」などの純度表示と検査機関の番号が一緒に刻まれています。指輪なら内側を確認してください。

ただし、このBISホールマークの「偽物」まで出回っているのがインドらしいところで……。信頼できるお店かどうかを事前に口コミや実績で調べることが大切です。インド人ですら騙されることがあるので、本当に気をつけてください。

ゴールドをつけて外出することのリスク

金の装飾品を身につけることはステータスの象徴である一方、それが犯罪のターゲットになることもあります。

バイクに乗った強盗に、歩いている女性のネックレスを引きちぎられるという事件は、インドでは少なくありません。政府からも「高価な装飾品をつけて外出しないように」という注意喚起が出るほどです。

それでも、多くの女性が金をつけ続けます。「危ないからやめる」ではなく、「リスクを知ったうえでどう守るか」を考える。このあたりも、インド人の強さのひとつかもしれません。

「金を持っていれば大丈夫」という精神的な支え

日本に来てから気づいたのですが、インドの人たちが金を大切にするのは、不安定な環境の中で生きてきた歴史と深く関わっています。

政治が変わっても、銀行が潰れても、経済が揺れても——金は残る。そういう経験を何世代にもわたって積み重ねてきたからこそ、「金がある=困ったときに助けてくれる」という信頼が生まれたのだと思います。

金を身につけることは、おしゃれであると同時に、「私には備えがある」という自信でもある。それがインド人女性の、あの堂々とした立ち姿にもつながっているのかもしれません。

よくある質問(FAQ)

Q. インドでは金以外の装飾品も同じように扱われますか?

A. 銀も使われます。足につけるアンクレット(パイアル)は伝統的に銀製が多く、これも魔除けの意味を持ちます。ただし資産価値や信頼性という点では、金が圧倒的に上位です。

Q. インド旅行中に金製品を買うのはおすすめですか?

A. BISホールマークの確認は必須です。ただしホールマーク自体にも偽物があるため、信頼できるショッピングモールや評判の良い店を選ぶことをおすすめします。観光地の露店はリスクが高いです。


もっと深く知りたい方へ:著書のご紹介

インド人のお金観・ゴールド信仰・仕事観・結婚事情まで、日本在住7年のシワニが書き下ろした初の著書です。

ぶっとび!人生が踊るインド・メンタル あらゆる悩みを3秒で吹き飛ばす最強哲学

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この記事はシワニの著書『ぶっとび!人生が踊るインド・メンタル あらゆる悩みを3秒で吹き飛ばす最強哲学』(KADOKAWA)の内容をもとに、シワニが再構成しました。

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